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個人練習やパート練習はオーケストラの中で演奏するためには欠かせない最も重要な練習です。
そのため、最も時間を割かれるべき練習であり、最もつらい練習であるのかもしれません。
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個人練習
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個人練習はおおまかに二つに分かれます。一つは、楽器が上達するための「基礎練習」。
もう一つは、演奏会用曲目の練習です。今回はこの演奏会用の曲を練習する事について
取り上げます。
ある曲を練習するその作業のことを「さらう」といいますが、楽器の初心者にとって
「さらう」ということは、はっきりいってつらいことです。そもそもさらうこと自体に
楽しさを見いだすのは、ほとんど至難の技です。しかし、さらわなければ始まりません。
一般的に、音楽的に秀でている人ほど、さらうことには前向きです。なぜでしょうか。
それはこの人たちは、きちんとさらえばさらうほど、音楽的に大きなものを勝ち得る
ことを知っているからなのです。さらうということは、形而上世界を持った人の形而下
の目的作業なのです。
楽器によって「さらい方」には多少の違いがありますが、ここでは基本的なことをい
くつかお話ししたいと思います。
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さらう前に
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まずは、楽譜(曲)の特徴をつかみましょう。
その曲はワルツなのか、ジャズなのか、速い曲なのか、ゆったりしたメロディックな曲なのか・・・。
まずはそういった「曲の特徴」をつかみましょう。CDなどの参考音源があるなら一度聴き、
テンポはメトロノームを使って把握しておきましょう。まずはその曲の持っている雰囲気をあらかじめ
体に吸収してから練習を始めることが大切です。曲全体や場所ごとの雰囲気を示しているのは音楽用語です。
音符ばかりを追うのではなく、楽譜に書かれている楽語は必ず調べてわからない言葉がないようにしておきましょう。
また、参考音源はダラダラ聴かずに1回で集中して聴き、覚えてしまいましょう。たくさん聴きたいなら家で聴いて下さい。
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目的を持って分析的にさらう
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よく「いま何をさらっているの?」という質問に対して、曲名で答える人がいます。
思わず「そんなことはわかってんだよ」と吐き捨てたくなりますが、ぐっとこらえて
「いや、そうじゃなくて、音程?、リズム?、ニュアンス?」などと解説付きの質問
に切りかえます。しかしこういう人にかぎって「はぁ?」となります。要するに、
無目的にさらっていたのです。
程度の差こそあれ、どんな人でも最初からすべてが完璧に奏けるわけではありません。
誰もが、いろいろな問題点をひとつずつ、つぶしにかけているのです。1回につき、
ひとつの問題点をクリアできればそれでよいのです。「さらう」ということに関しては
ほぼ間違いなく「二兎を追う者一兎を得ず」です。
まず「どのように演奏したいのか」というイメージを豊富に持ち、次に「現状はどう
なのか」ということを冷静に分析し、更に「では何から取り組むのか」の目的を絞り込み、
最後に「どのような方法で行うのか」という方針を定めて、さらうのです。
さらうときの観点には、次のようなものがあります。
- 音程
- リズム
- テンポ
- ポジション・チェンジ
- フィンガリング
- ボーイング
- 移弦
- ブレスィング
- フレージング
- ニュアンス
- 右手・左手だけ
- タンギング
- ソルフェージュ
- 逆弓
さて、さらう時にメトロノームをうまく使うと、非常に効果が上がります。それも、
例えば拍性が4拍子の曲のときに、メトロノーム4カウントだけではなく、やや遅いテンポで
8カウントにしたり、イン・テンポで2カウントにしたりしてさらうのが効果的なのです。
また、テープレコーダーも効果的に使えます。このとき、あまり長時間録音しないのがコツです
(そもそも長時間録音したものを注意深く聴き返す気力なぞは、ほとんどありません)。
録音はせいぜい数分どまりにしてすぐその場で再生し、問題点を分析した上でさらい、
問題点を解決して次のステップに取りかかるのが最良なのです。要するに、眼前の問題点は
その場で解決するのが肝要、ということなのです。
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ゆっくりからさらう
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これは「さらい方の王道」といえるさらい方です。特に新曲に接した初期は、
さらう時間の9割以上をこのさらい方にたよらなければなりません。
ゆっくりからさらう方法を述べます。
まず初日は、余裕を持って演奏のできる極めて遅いテンポ設定をし、
メトロノームをそれに合わせます。次に、このメトロノームに合わせて楽器を奏きます。
そしてパーフェクトな演奏が数回続けてできたら、メトロノームの目盛りを1目盛り上げます。
同様に、パーフェクトな演奏が数回続けば、更に目盛りを上げます。
これを、練習時間内で無理をせずに繰り返し、初日の練習を終えます。
翌日は、前日最後のテンポより数目盛り下のテンポではじめます。
少しずつテンポを上げる方法は、初日と同じです。同様にこの方法で連日取り組み、
最終日には、目標テンポより数目盛り上で奏けるようになるまでにします。
ポイントは、あせらないこと、無理をしないこと、ミスに対して厳格であること、
目標の数目盛り上をゴールにすることなどです。
ここで注意しなければならないのは、ゆっくりしたテンポでさらう時にこそ、
厳格なまでの正しいリズムと音程でさらわなければならない、ということです。
また、イン・テンポの時の音楽の持つ、音のキャラクターと奏法を想定した上でさらうことが、肝要です。
その意味では、リズムは大切にするが音符の長さはすべてやや短かめになることでしょう。
そうしなければ、音圧(弓圧、空気圧)、奏量(弓の使う分の長さ、息の量)などが、イン・テンポのときと変わってしまうからです。
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付点のリズムなどでさらう
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これも「さらい方の常連」です。ころび(転び)やすいリズムや、すべり(滑り)やすいリズムのところを、
エラーと逆のリズムでさらう方法です。
主に、均等な音価のリズムのイレギュラーに対して適用します。
例えば、2つの8分音符のうち前の音が短くなりやすいときには、付点8分音符と16分音符で構成される付点リズムでさらい、
前の音がのびて後の音が遅れやすいときには、逆の付点リズムでさらうのです。
これには、ほかにもいろいろなリズムが使えます。
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パート練習
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パート練習とは、『パート内の考えをまとめる(バランス作り)』と言うことです。
ここでの「考え」とは具体的にテンポ感、音量のバランス、音色、アーティキュレーションのスタイルの統一、
フレーズ感の統一(ボウイング確認、ブレスの位置)などが挙げられます。
また、パート練習時には必ずスコアを用意しておきます。
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テンポ感の統一
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楽譜によってはテンポ指定が具体的にされているものも少なくありませんが、メトロノームのように
最初から最後までまったく同じでは機械的で面白くありませんし、人間ですのでそういう演奏は不可能に近いですし、
そんな音楽はオーケストラでは求められていません。テンポ指示があっても個人個人微妙に感覚が違いますので、
それをまず統一しなくてはいけません。ただし、これは合わせていくうちに自然と作られていくものなので、
特に指示するとか、そういうことはしなくて良いでしょう。トップの人がメトロノームなどである程度確認をしたら
あとはそのテンポに全員が合わせていけるように練習します。
ですので、トップの人はかなりテンポに厳しくしていないといけません。他の人のテンポに流されてしまわないようにしましょう。
基本的に合わせる時にはメトロノームを使ってはいけません。
メトロノームはテンポ確認や細かいフレーズなどの反復練習のみに使用するものです。
メトロノームに合わせた練習ばかりしているとテンポ感が他人まかせになり、自分のテンポ感やフレーズ感などが失われてしまいます。
曲によっては最後までまったく一定のテンポで終るものもありますが、ほとんどの場合変化していきます。
rit.(リタルダンド)やフェルマータ、シンフォニーやメドレーなどではいくつもの場面が続いているので激しくテンポが変化します。
そういったテンポが一定ではない箇所をパート練習時に集中して練習しておくと、合奏の時に非常に有効です。
ですので、パート練習ではただ単に通すのではなく、テンポが変化する部分だけを抜き取って練習することも大切です。
トップの人がパート練習までにある程度自分なりの考えをまとめていかないと、「ここどうしようか〜?」
などルーズな時間になってしまいますので責任感を持ってテンポを作っていけるように準備しておくことが必要です。
もちろん、トップ奏者だけではなく全員が持っていなければいけないことなのですが。
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音量のバランスの統一
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楽譜に記載されている情報というのはほとんどが曖昧な表現をされています。
例えば、f (フォルテ)ひとつにとっても「強く」だけの情報では人それぞれ考え方が違ってきます。
合奏でもしばしば言っているように強弱記号の中の意味「どんなフォルテか」等をイメージし、
表現しなければ音楽になりません。それらをまずパート内で統一する必要があります。
特に音量によっては全てを消してしまう力のある金管打楽器はフォルテを、
クラリネットなどいくらでも弱い音を出せる楽器はピアノのバランスを考える必要があります。人数の多いVnも同様です。
曲に合った(その場面に合った)音量と、その表現を統一する作業はパート練習で行って下さい。
演奏して合わせるだけでなく、相談し、意見しあうことが必要になります。
この時、スコアを見て、その箇所がSoli (ソリ=特定のパートが主導権を持っている状態。Soloの複数形)であれば
主張して演奏するべきだし、他の楽器と旋律をしている場合や伴奏である場合など、
同じ強弱が書いてあっても全体の中での立場によってバランスを考えなくではいけません。
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音色の統一
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強弱と近い存在ですが、「強い」「弱い」だけではなく、その場面に合った表現をする時に大切なのが音色です。
例えば、トランペットで言うとファンファーレ的なフレーズを演奏する時と優しい場面での和声を重視した
アンサンブルを求められている時に同じ音色であってはいけません。
ここで「○○なフォルテ」「○○なピアノ」という考えが重要になってきます。
これもぜひパート内で話し合い、どんな音色が合っているのかを統一し、そのイメージを表現できるまで繰り返し練習するようにしましょう。
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アーティキュレーションのスタイルの統一
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アーティキュレーションというのは音楽で言えば、アクセント、テヌート、スタッカートなどを指します。
これに加えてcresc.(クレッシェンド)やdim.(ディミヌエンド)の表現も含みます。
他に記号だけでなく、楽語もすべて参考にします(パート練習時ではすでに楽語を調べは完了しているはず)。
強弱と内容が重複しますが、アーティキュレーションも人によって考え方は違います。
特に弦楽器は、「このアクセント(テヌート、スタッカートetc.)にはどんなボウイングをするのか」等を決める必要があります。
アーティキュレーションは表現するのが難しいです。
客観的に聴いて理解してもらうような演奏ができるように練習をする必要があります。
そのために、パート外の人(できればシステムの違う奏者=弦なら管に等)に聴いてもらうことをお勧めします。
同じシステムの楽器同士だと妥協が生まれていまいかねませんので。厳しい指摘をし合うことが重要です。
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フレーズ感の統一(ボウイング、ブレスの確認)
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音楽は音符1つ1つを正確に演奏しただけでは成立しません。
音符1つというのは小説で言う活字1つです。それが見事に並べられた結果美しい単語になり、
その単語が美しく並ぶと感動する『文章』になります。音楽でいえばそれがフレーズ感です。
歌を参考にしてもらえればわかりやすと思いますが、歌詞が変なところで切れてしまうと言葉の
意味を伝えることができなくなってしまいます。
メロディには(もちろん、ベースラインや伴奏形にも)必ずフレーズというものが存在しています。
フレーズとして一番もっともだと思われる場所を考え、
パート全員がそれを把握した状態でなくては分かりにくい音楽になってしまいます。
フレーズ感を養うためには、楽器ではなく歌ってみることが良いでしょう。
あまり考えずに自然に歌った状態というのは意外にもきれいなフレーズ感を持っています。
弦楽器はボウイング指示が何も書いていなくても一番自然に感じるフレーズを作るためにはどう動かしたら良いのか、
歌えればある程度はできると思います弓の使う長さ、デタシェ(スタッカート等で)、根元なのか先なのか等。
また、管楽器はブレスの位置がバラバラだとフレーズがそれぞれ勝手に分断されてしまいますので、確認をしておく必要があります。
考え方は弦楽器と同じです。また、ホルンやクラリネットなどにしばしば現れる息の長いフレーズなどは場合によって
意図的にブレスの位置をずらしたりもします(カンニングブレス)。
ただ、これは特別な表現ですのでやたらと用いることは良くありません。
スコアを見て、メロディがどこで区切られているのかを理解し、合わせていくほうが音楽的には良い表現だと思います。
打楽器も管楽器、弦楽器と同様です。ブレスをしないでひたすら叩き続けていては苦しい音楽になってしまいます。
曲の始めなどは特に息を吸ってから音を出すようにして下さい。
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